英会話を上達させるには英語のチャンクを沢山覚える事が大切な訳
皆さんこんにちは。皆さんは「チャンク」という言葉を聞いた事がありますか。今回の記事では、日本人の英語学習者が知っておくべきチャンクの意味を説明しながら、なぜ英会話上達においてチャンクが重要なのか、チャンクを意識した勉強の効果、チャンクの覚え方も紹介していきたいと思います。
これから紹介する外国語学習における「チャンク」とは、世界中の言語学者によって研究されているテーマです。言語学者たちは外国語を覚えるには「チャンク」を沢山覚える必要があるという考え方を持っています。
私自身も過去に日本語を習得する際にかなりの時間を日本語学習に費やしてきました。そんな事から私も言語学習者として「チャンクを覚える事の重要性」をよく理解していますので、当サイトの読者の方にもチャンクが何故重要なのかというお話をしてみたいと思います。
それでは、まず最初に「チャンク」とはどんな意味なのかという部分からお話してみたいと思います。
英語のチャンクとは何?
カタカナの「チャンク」は英語の「chunk」という単語から来ています。「chunk」は日本語で「かたまり」、「厚切り」という意味になります。
英語の「chunk」とは「色々な文脈で使える単語」という事になりますが、言語学・英語学習に関する話であれば、「決まり文句」、「フレーズ」、「コロケーション」といった意味になります。つまり、「一緒に使う単語のかたまり」という意味になります。
世界中の言語学者たちは「チャンク」という現象について様々な理論を解説をしていますが、実は「チャンク」にはとても広い意味があります。例えば、下記の物は全て「チャンク」の種類です。
- 決まり文句:thank you very much、that’s right, you’re welcome
- ディスコース・マーカー:by the way, on the other hand, in conclusion
- イディオム:a piece of cake、break a leg、hang in there
- コロケーション:catch a cold、commit a crime, break the law
- ことわざ:an apple a day keeps the doctor away, a stich in time saves nine
- 文法パターン:would you like、 do you mind if、I’d like to
- 句動詞:wake up、sit down、stand up
これら単語のかたまりのことをチャンクと呼びます。つまり、チャンクは「二つ以上の単語のかたまり」で、英会話や英語のライティングによく出てくるフレーズ・単語の組み合わせと考えてよいでしょう。
英語のチャンクは何故重要なのでしょうか?
ある研究によると、60%の会話は「チャンク」で作られているという結果が出ています。そして、人間の脳は言語を覚える際に「個々の単語」ではなく、「チャンク」を覚えたり、使ったりしてインプットするそうです。
単語の組み合わせが会話によく出てくると、人間の脳はその単語の組み合わせを一つの「言葉」として扱うという研究結果があります。他の研究では、英語で「最もよく使われている1,000語の単語」の中には、約85語の「単語」は単語ではなく、「チャンク」になるという研究データがあります。
つまり、英会話を理解するためには、会話でよく出てくる単語だけではなく、よく出るチャンクを覚えるべきです。多くの言語学者・研究者によると、「チャンク」は「会話の基礎」となるそうです。
チャンクを覚える事によってどんなメリットがあるのか?
英語学習者が数多くのチャンクの意味と使い方を覚える事が出来れば、下記のようなアドバンテージがあります。それでは具体的なアドバンテージを見ていきましょう。
会話の流暢さがアップする
頭の中に数多くのチャンクの知識があると、会話をする際に何も考えずにそのチャンクをそのまま使う事がます。そうする事によって、それぞれの単語を頭の中で順番に並べる必要がありません。そのままチャンクを使えばもうすでに文法的に正しい自然な文章が出来上がっています。
会話内容の理解力がアップする
先程もお話ししたように、色々な種類の言葉は「チャンク」というコンセプトに入っています。例えば、イディオム、文法パターン、句動詞などはチャンクの種類ですね。
そして、単語だけではなく、チャンクやフレーズを覚えると、相手が話している内容の意味をもっと深く分析しやすくなります。チャンクの意味が分かれば、各単語の意味を分析する必要もなくなります。
話し方・ライティングスタイルがネイティブっぽくなる
英語ネイティブ(または他の言語のネイティブ)は会話やライティングをする際に数多くのチャンクを使っています。そのため、英語学習者は頻繁に使わるチャンクをそのまま覚えて使えば、「外国人っぽさ」がなくなり、より自然なネイティブっぽい英語になります。
チャンクを覚えないと、自分が英語で話す・書く際に「自分の言語から英語に直訳する」という癖が出てしまいます。英語と日本語はかなり異なる言語なので、直訳すると変なフレーズを使ってしまいます。
しかし、ネイティブが使うチャンクをそのまま覚える事が出来れば、ネイティブに近い話し方になります。これは、ネイティブが会話相手の際に理解してもらいやすい英語になります。
つまり、英語のニュアンスミスや変な英語を使って意味を誤解される可能性が少なくなると思います。そして多少発音が悪くてもチャンクを使って会話すれば相手に通じやすくなります。
チャンクはどのように覚えるべき?
言語学者は長い間「チャンク」の重要性について気が付いていますが、残念ながら日本の英語教材・教科書、英語の先生などは、英語のテスト対策としてまだまだ「チャンク」よりも「単語の暗記」に重点を置く傾向があります。しかし、これはとても勿体ない事です。
このサイトでも今までに数多くの会話の為の英語勉強法を紹介してきました。やはり、英会話をある程度話せるようになりたいなら、単語の知識を暗記しただけではいつまで経っても英語を話せるようにはなりません。
英語を話せるようになりたければ、自分で数多くのチャンクを覚える必要があります。それでは、具体的にどのように英語のチャンクを勉強していけばいいのでしょうか。以下の具体的に方法を紹介していきます。
英語のチャンクを覚えるには文章で単語を覚える事
先ずは、新しい英語を覚える際に「単語」ではなく「文章」で英語を覚えた方が良いと思います。私が以前に書いた記事でも、英語学習では「文章を覚える」ことの重要性を紹介した事があると思います。もっと簡単にいうと、新しい単語を覚える際にその単語が含まれている色々な文章を使って、単語を文章の中で覚えた方が良いと思います。
そうする事によって、その単語がよく出てくるコロケーション・決まり文句を同時に覚える事ができます。例えば、もし「crime」(犯罪・罪)という単語を覚えたいなら、「crime = 犯罪・罪」という風に覚える事ではなく、「The man committed a terrible crime」(男性は酷い犯罪を犯しました)という文章毎暗記した方が良いと思います。
それは何故なら、「crime」という単語を単語だけで使う場合は殆どないからです。もし会話で「crime」の話をするなら、「commit a crime」(犯罪を犯す)というコロケーションで使う場合が多いです。
そして「commit a crime」という表現はチャンクの良い例だと思います。会話で使われているチャンクですし、テレビニュースにも出てきます。ですから、「crime」を覚える際には一緒によく出てくる「commit」という動詞も同時に覚えた方が良いでしょう。
リスニング量を増やす事
日本人の英語学習者の多くは「リーディングで単語を暗記する」という方法を使うと思います。そして、冒頭でも触れたように「単語リストで単語を覚える」という場合が多いです。
英語の教科書に載っている単語を眺めて日本語の意味を覚えて終わり、という勉強法をしている人が多いと思います。
しかし、私の意見では、リーディングよりもリスニングで英語を覚えた方が記憶に定着しやすいと思います。リーディングで英語を覚える際にはそれぞれの単語を別々の物として覚えていますが、リスニングで覚えると「チャンク」で覚える確率がより高まると思います。
その理由としては、初めて英語のリスニングをする際には単語と単語の間があまり聞き取れないという場合が多いと思います。しかし、同じ音声を何度も繰り返し聞いていると、単語ではなく、チャンクが先に頭に入ってきます。
英語圏の赤ちゃんもこれと同じように英語を覚えます。英語圏の赤ちゃんは単語とチャンクを区別しないで親の話を聞いて生活に必要な役に立つ英語を覚えます。
以上の事から、日本人の英語学習者も英語圏の赤ちゃんと同じように考えて、英語の音声を何度も聞いてチャンクとフレーズを覚えるべきだと思います。
英文法パターンをチャンクで覚えるようにする事
私の意見では、中学校レベルの英語の知識があれば、それだけでもかなり英会話が出来るはずだと思います。それは何故なら、ネイティブの日常会話で使われている英文法パターンの多くは中学校で教えられているレベルの内容です。
そのため、中学校レベルの英語文法をしっかり覚える事が出れば、かなりスムースな会話が出来るはずです。しかし、文法パターンはチャンクとして覚えた方が良いと思います。
チャンクで単語を覚えると、もし他の表現をしたい場合に、その単語だけ入れ替えて色々な表現を作る事が出来るようになります。
当サイトのライターは中学校レベルの文法を中心勉強出来るメソッド系英語教材を作っています。この「English Reboot」という教材は各文法ポイントを紹介して、例文を通してチャンクとして覚えられます。この教材はリスニングがメインなのでチャンクを覚えるメソッドにピッタリだと思います。
句動詞とイディオムを数多く覚える事
句動詞とイディオムはチャンクの種類なので、英語のスピーキングの中でも流暢さをレベルアップしたいという方なら、必ず数多くの句動詞とイディオムを覚えた方が良いと思います。
一般的に文章をリスニングで覚える方が記憶に残りやすく、最も効果的なのでこういったスタイルの教材をお勧めしたいと思います:
この教材は音声付きで、ダイアログと例文を通して最もよく使われる句動詞を紹介しています。まだ、ご覧になっていない方は是非使ってみてくださいね。
シーンに合わせたフレーズを覚える事
フレーズ集という教材は英語教材の中でも少し古いスタイルの教材ですが、意外と効果的な英語教材の種類だと思います。特に「シーン別・シチュエーション別」に合わせてフレーズを沢山覚えると、自然に数多くチャンクを覚えられると思います。
日常の多くのシチュエーションでは、決まり文句のようなフレーズがよく使われると思います。例えば、電話の会話であれば、会話の相手は殆ど決まり文句を使って会話しますよね。
例えば:
A: Hello.
B: Hello. This is 名前。May I speak to 名前?
A: I’m afraid he’s out of the office right now. Would you like to leave a message?
B: No, thank you. I’ll call back later.
上記の会話では、数多くのチャンクが入っています。例えば:
This is 名前 ➡ 名前ですが
May I speak to 名前 ➡ 名前と話してもよろしいですか
I’m afraid ➡ 申し訳ありません
out of the office ➡ お留守番です
Would you like to ➡ ~がしたいですか
leave a message ➡ 伝言を残す
No, thank you ➡ 結構です
call back later ➡ 後で折り返し電話する
以上のようなフレーズを沢山覚えておけば自然と多くのチャンクを覚えられると思います。ですから、フレーズ集やダイアログが多い教材をお勧めします。
ジャズチャンツとは?
ジャズチャンツ(Jazz Chants)とは「音楽でチャンクを覚える」方法として考えた方が良いと思います。少し子供向けの勉強法だと思いますが、大人でも使えると思います。
ジャズチャンツでよく使われているフレーズを繰り返して歌うというコンセプトです。初めてやると少し恥ずかしく感じるかもしれませんので、周りに誰もいない時にジャズチャンツの音声をかけて、声を出して歌うというやり方がお勧めですね(笑)。
まとめ:チャンクで英語を覚える理由
まとめると、チャンクとは「単語のかたまり・フレーズ」という意味です。英語ネイティブの殆どの英会話内容は、単語だけではなくチャンクが数多く含まれているので、英語力・英会話力をレベルアップするためには「数多くのチャンク」を覚えた方が良いと思います。
そしてチャンクを覚えれば覚えるほど会話が流暢になります。そして、会話の際の理解力もかなり上がるはずです。チャンクを覚えるためには、単語だけではなく、文章とフレーズを暗記するべきです。
リスニング量を増やして、ダイアログや例文を通して英語を覚えた方が学習効果も高いと思います。フレーズ集、句動詞の教材、ジャズチャンツなどの教材が特にお勧めです。
それでは、チャンクについての説明は以上になります。皆さん英語の勉強を頑張りましょう! 他にも英語に関する質問があれば、是非当サイトのライターにご質問くださいね!