ハリー・ポッターを読んで英語の勉強は出来る?
今回の記事は英語学習のテーマ、英語学習のリーディング教材としてよく取り上げられている「ハリー・ポッターを使った英語学習」についてイギリス人である私なりの意見を書いてみたいと思います。
ハリー・ポッターのシリーズは全世界中で450,000,000冊以上を売り上げた歴史上で最も人気のあったシリーズです。
ハリー・ポッターは67ヶ国語の言語に翻訳されており、世界中の子供に愛されているストーリーです。日本人の英語学習者以外の方でもハリー・ポッターの日本語版を読んだ事がある人は多いと思います。
そこで今回の本題に入りますが「ハリーポッターの英語版」を教材として使って日本人の英語者は英語の学習をする事が出来るのでしょうか?
この質問に簡単に答える事は難しい事だと思うので、まずはハリー・ポッターを英語教材として使う場合に「どんな点が英語学習に向いているのか?」
そして「どんな点が英語学習に向いていないのか?」という点を分析して紹介していきたいと思います。
以上の事を理解した上で、英語学習者の方は「ハリーポッターが英語学習の教材として向いているのか?」「それとも向いていないのか?」を判断して決めた方が良いと思います。
ハリー・ポッターが英語教材としての良いポイント
ハリー・ポッターのストーリーは確かに楽しいです。もしあなたがハリー・ポッターを英語で読もうと思っているなら、あなたは既にハリー・ポッターのストーリーが好きな人 = つまりファンの方だと思います。^^
そしてストーリーが面白ければ「英語で本を読む」という行為に対してモチベーションを最後までキープ出来ると思います。
またこれは他の英語の教材に関しても言える事ですが、英語の教材を選ぶときには「必ず自分が興味を持てるテーマで英語を学習する事」それが最も大切な事だと思います。
興味がないテーマの本や退屈な文章であれば、直ぐにモチベーションはなくなり結局、最後まで読まずに諦めてしまう可能性が高いでしょう。
実際に私が日本語を勉強した時にもそのような経験はあります。ですから、これはハリー・ポッターに限らずリーディングの学習教材を選ぶ際に大切なポイントになると思います。
話は戻りまして、ハリー・ポッターは世界中で愛されている作品ですがストーリーやキャラクター、言葉遣いは本当にイギリスっぽいです。(イギリス英語の要素が強い作品です)
一応、魔法使いのストーリーですが、魔法使いや魔女たちはとてもイギリス人っぽいキャラクターです。
以上の事からハリーポッターを読む事によって、イギリスのカルチャー的なポイントも自然と吸収する事が出来ます。
作家のJ.K.ローリングは言葉遊びやユーモア的なイディオムが上手な作家です。殆どのキャラクターの名前や地名などには「二つの意味」が含まれています。
こういった微妙なニュアンスは日本語(他の言葉もそうですが)に翻訳しにくいので、時々日本語版には出ない部分もあります。
ですから、これらを英語で直接リーディングする事によって、J.K.ローリングのユーモアや作家としての才能を直接感じる事が出来る所も良いポイントです。
そしてハリー・ポッターにはオーディオブックのバージョンもあるので、これを買えば本を読みながらリーディング力を上達させながら、同時にリスニング力を上達させる事にもつながります。
ハリー・ポッターの英語教材としての弱点
ハリー・ポッターは一応子供向けの本ですが、子供の本だからといって(英語で)読みやすいというわけではありません。
英語圏の10歳の子供は簡単にハリー・ポッターの小説を読めますが、英語圏の10歳の子供が知っているボキャブラリーの数は以外と多いんです。
平均的な英語圏の国のネイティブの10歳の子供は「10,000語~20,000語の英単語」を理解出来ます。
それに子供達は当然の事ながら、自分達のネイティブカルチャーに詳しいですし、言葉遊びやイディオム、カルチャー的な話が外国人よりも簡単に理解出来ます。
ハリー・ポッターの本は子供向けですが、日本人を含め非英語圏の国の外国人にとって、それらは意外と難しく感じるかもしれません。
またハリー・ポッターは魔法使いのストーリーでファンタシーの世界を綴ったものなので、勝手に作られた英単語がとても多いです。
J.K.ローリングは多くの英単語を自分で作ったので、辞書には全く掲載されていない英単語が多いです。
このためストーリーはかなり読みにくい部分もあります。そして、実際の会話には出ないような英単語を勉強をする事は「英会話を勉強している学習者」にとっては以外と無駄な勉強になりやすい事も事実です。
また、ハリー・ポッターはストーリー自体が長いです!シリーズ中で一番長いものは「Harry Potter and the Order of the Phoenix(ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団)」です。
イギリス英語のバージョンでは765ページあります。この分量はリーディング学習をする勉強時間として集中できる時間でしょうか?(笑)
まとめると、やはりハリー・ポッターは英語学習教材として「良いポイントもあり、同時に弱点もある」その事は否めません。
本当にハリー・ポッターのファンであれば良い学習教材になると思いますが、内容的に子供向けの本のわりにクセがあって読みにくいとは思います。
私の個人的な意見なのですが、もし私が英語を勉強するならハリー・ポッターは使わないと思います。私が英語を勉強する際には、もう少し日常会話に使えるフレーズが多く入っている小説を選ぶと思います。
結局は英文小説でリーディングの勉強をしたい人は「自分の興味に合わせたテーマ」で本を選び、それを学習教材にした方がいいと思います。
ハリー・ポッターのビックリ情報
ハリー・ポッターのイギリスバージョンとアメリカのバージョンは様々な違いがある事を知っていますか?!
勿論、イギリス英語版はオリジナルバージョンです。アメリカバージョンでは、アメリカ人の読者に読みやすくする為に様々なポイントが書き直されているんです。
ハリーポッターのスペルの比較
イギリス英語:colour
アメリカ英語:color
イギリス英語:favourite
アメリカ英語:favorite
これらのようにイギリス英語からアメリカ英語のつづりに変えられた。それと「ハリー・ポッターと賢者の石」という本の名前も違います。
イギリス英語バージョンでは「Harry Potter and the Philosopher’s Stone」ですが、アメリカ英語バージョンでは「Harry Potter and the Sorcerer’s Stone」となっています。
またボキャブラリーの違いも多いです。アメリカ人の子供に通じないイギリス英語のボキャブラリーはアメリカ英語に変えられています。
- イギリス英語:dustbin
- アメリカ英語:trash can (ゴミ箱)
- イギリス英語:biscuits
- アメリカ英語:cookies(クッキー)
このように単語を変えられています。以上の事が理解出来てはじめて、ハリー・ポッターが英語教材として自分自身に向いているのかを見極めた上で判断されると良いと思います^^
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